座ったり立ったりしている時の肩というのは普段から生理的に緊張しています。そんなところに更に負担がかかれば、身体にとって良くないことが起きる事は想像に難くないことかと思います。今日のテーマは「肩」です!
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肩こりの原因の一つに胸郭出口付近の詰まり
この部分、実はかなりデリケートな部分です。腕神経叢という神経が無数に枝分かれしているところであり、鎖骨下動脈・鎖骨下静脈の通る部分なので、神経痛を伴う症状やダルさが現れることもあります。

photo credit: 写真素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
胸郭(きょうかく)って何?
まず胸郭について説明します。胸郭は、心臓・肺などの呼吸器・循環器を覆うようにしている鳥かご状になっている骨の事です。
- 胸椎
- 肋骨
- 胸骨
(肋骨が出てる背骨のこと)
(12本のあばら骨)
(身体の前側で左右の肋骨がくっつく中心のところ)
胸郭出口とは?
血液は、心臓→脳→心臓→肺→心臓という流れを繰り返して循環しています。この時、胸郭を出て脳へ向かう首や肩のところを、胸郭にとって血液の出口と捉えられている為、胸郭出口と呼ばれています。柔道でいうところの袈裟(けさ)にあたるところです。
悪化すればシビレも
胸郭出口が原因で起きるシビレ、神経痛のことを胸郭出口症候群といいます。シビレの範囲は腕で終わることもあれば、指先にまで症状が現れることもあります。特に、神経根圧迫が原因のシビレは末端にいくほど症状は強くなります。
原因は多岐にわたる
胸郭出口症候群といっても、胸郭出口にある神経や筋肉は無数に存在するので、原因は様々です。胸郭出口症候群の中で特にあるのが、頸肋症候群や斜角筋症候群です。
胸郭出口症候群を始めとする神経痛を見極めるのに、MMT(Manual Muscle Testing)という検査を行います。筋肉へ負荷をかけて筋力差を測ったり、神経圧迫を起こして症状の強さや出方を調べるものです。徒手検査ともいいます。
肩こりと腕の位置の関係
知ってますか?実は身体を起こしているだけで、肩は緊張しているんですよ!解剖的にみると、腕の骨全体は鎖骨のみで胴体とつながっているだけで、他は首から伸びる筋肉で吊るされているだけです。
そう聞くと頼りないですが、骨や靭帯による依存度が他より少ないからこそ、人体の中でも一番の可動性を持つ関節といわれています。本来はもの凄くしなやかなんです!

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肩甲骨由来の筋肉が大半を占めている
肩こりと腕の関係は切っても切れません。腕をよく動かすほど肩甲骨由来の筋肉も動くので、凝りが出にくくなるのです。ではここで簡単にですが、どういった筋肉なのかを見てみましょう。
僧帽筋
ひし形をした肩の代表的なアウターマッスルのひとつ。主に、肩甲骨の細かな動きに関わっています。その名の通り、僧侶が被る帽子のような形をしていることから僧帽筋という名前が付いています。
肩甲挙筋
肩をすくませるような、肩甲骨を上に引き上げる(挙上)する動作に使われます。肩甲骨のてっぺんから、首の上部にくっついている筋肉です。この筋肉が硬くなれば、上部頸椎の歪みに発展することがあります。
巻き肩と重心の変化
巻き肩になると肩の先端(肩峰)が前を向くので、身体の前側に腕が来てしまいます。こうなると重心が前に行くので、背骨の回りやお尻や太ももの筋肉でバランスを取るようになります。
小胸筋
肩甲骨というのは、実は背中から身体の中を通って胸側に貫通しています。この貫通した部分を烏口突起と言いますが、ここにも筋肉が付着しています。小胸筋もその一つで、肋骨にまで伸びています。
収縮すると肩の内旋を引き起こすので、巻き肩の典型的な特徴である「内旋したまま自然に戻らない」といった問題は、ここが絡んできます。
肩の凝りはこうしてできる
身体を動かさなくなった・動かさない
筋肉量の多い人が身体を動かさなくなると、基礎代謝が落ちることで柔軟性が失われます。

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ケガで安静にしなくちゃならない
患部に炎症が長期間にわたって残ったままだと、正常な細胞が破壊されてしまいます。これにより本来もっていた柔軟性が無くなってしまい、日常生活に支障をきたす恐れがあります。例えば五十肩ですが、治療せずそのまま運動し続けてしまうと、肩の関節が完全に固まって動かなくなります。
腕を肩より高いところまで上げなくなった
これをしてしまうと、肩甲骨を肋骨から離れないようにする為の筋肉が一切伸びなくなります。五十肩のきっかけにもなります。
それって本当にバンザイですか?
両腕を挙げて、腕の骨を耳にピッタリとくっつけてみて下さい。できた人の中でも、どこかに引っ張られるようであればもっともっと動かしてあげて下さい!
できなかった人は、今後何か運動をする時に無理が通らなくなります。一度痛めてからでは遅いので、徐々にストレッチをしていきましょう!
バンザイは、肩甲骨と肩関節が連動して、はじめてできる動きです。これを肩甲上腕リズムといいます。
加齢によるもの
年齢によって、次第次第に新陳代謝が落ちて衰退していきます。若い内にどれだけケアしてこられたかが重要です。
柔軟性が元からない
運動はそこそこするという人でも、柔軟性に乏しければ身体の疲れが抜けにくく、負担が何かとかかりやすい肩は凝りやすくなります。これは一定以上血が通わないからこそ起こる問題です。
神経圧迫を放置してしまうと怖いです。神経自体は自然治癒されることがない組織なので、医療が進歩しない限りは再生しません。
また、神経圧迫の期間が長いと、老後になってから圧迫の起きた患部から末端にかけて神経がやせ細ってしまいます。動きや知覚が鈍くなってしまうので、それに伴い筋肉の衰退の度合いが変わります。
オーバーユースによって
運動のやり過ぎも考え物です!運動すると筋肉に疲労物質が溜まっていくので、これを放置することで血流が悪くなり筋肉の凝りになってしまいます。
重たいものを持ってしまう
手で持つタイプのカバンの場合は、筋肉疲労から来る肩こりになります。ショルダーバッグなどを肩にかけて持つタイプのものだと、肩の筋肉そのものを圧迫してしまうので痛みになります。
いずれにしても、ロードワークなどで肩に大きな負荷をかけると背骨が歪んでくるので、そこから二次的な肩こりが出ることも予想できます。

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長時間同じ姿勢をし続ける
長時間同じ姿勢でいたり、デスクワークなどで大きな動きもなくジッとしていると、筋肉の代謝が落ちてきます。筋肉の中に古い血液が滞った状態でもあるので、身体を少しだけ動かしたりするなどして血行促進させるといいでしょう。
猫背だから
背骨の歪みが原因で起こる肩こりです。猫背になってしまう理由としては、「頭や腕の重みに耐えられない」とか、「お腹より背中側の筋肉でバランスを取ってしまいがち」だとかが考えられます。
硬いところや窮屈なところで寝てしまう
布団ではなくソファ、または床暖房が入ったところで気持ち良くなっちゃってついつい床で寝てしまったり…。肩どころか身体全体が硬くなります。身体の接地面のあたりが強く、それがストレスになってしまっているからです。

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ストレスを感じていると
これは自覚の有無を問わず出てくるものです。生きている以上、大なり小なり確実にストレスは出てきます。ストレスを感じるのは精神面だけではないということです。
肩こりから来る二次的な症状
今肩こりを抱えてこの記事を読んでいるそこのあなた!肩こり以外にも、いろいろと症状が出てくることを知っていますか?
頭痛・吐き気
緊張型頭痛というものがあって、頭部へいく血液の量が減るとこの症状が現れます。首や肩回りの筋肉を温めたり、マッサージなどで筋肉をほぐしたりすることで緩和します。

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寝ても疲れが取れない
睡眠不足によるものですが、肩こりから来るものが考えられます。胸椎が猫背になると、呼吸が浅くなります。これは脊柱起立筋群の収縮や、胸郭の可動域が減ることにより、呼吸が浅くなるからです。
胸郭が動かないと、肺の膨らみを阻害してしまいます。いくら吸った気になっても、上限付きでは肺活量も激減です。一般に、呼吸には横隔膜が使われることが広く知られていますが、残念ながらそれだけでは呼吸は不十分です。
自律神経の乱れ
自律神経は解剖的にみると、脳の下側の下垂体(のどちんこみたいなところ)の先、延髄を経由して首に通っています。僧帽筋や肩甲挙筋などの大筋群が凝ってくると、首の骨に負担をかけてしまい、自律神経の働きを妨げてしまいます。
特に副交感神経は首の前側を通るので、胸鎖乳突筋の緊張が強い人ほど、体内の調整が利かなくなってきます。
胸鎖乳突筋は面白い筋肉で、副神経という脳の神経で直接動いています。この神経で動作する他の筋肉には僧帽筋も含まれています。片側が動けば顔を反対側へと回旋させて、左右の筋肉が同時に動けば仰向けの際に頭を持ち上げる筋肉となります。
また、片方の肩で重たいものを持った時にも緊張します。この筋肉が直接持ち上げているのではなく、首肩回りの筋肉を強く収縮させようとしてなります。この時の硬さは、自律神経の作用によるものと考えられます。
生まれつき胸鎖乳突筋の長さが、左と右とで違うことで頭が自然と傾いてしまう。このことを斜頸といいます。これは整体では治せないので、整形外科の領分となります。

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まとめ
- 神経痛やシビレを伴う場合、放置すると老後が厄介なことになる。
- 肩こりの原因の大半は肩甲骨が関わっている。
- 肩こりから来る二次的な症状。
ひと口に肩こりといっても、これだけ色々とあるから人体は面白いですね!慢性疲労から神経痛に、睡眠の質にまで影響します。睡眠は何をするにしても大事なもので、仕事のパフォーマンスに大きく影響します。
無自覚な肩こりほど怖いものはなくて、自覚症状が出る頃には明確な痛みに悩まされているだとか、神経痛が出るようになったとか、そんな人が多いように思います。
冬場の寒さや夏場の屋内の空調で、身体を冷やしすぎて悪くなってしまったという人をよく見ます。皆さんも身体を労わってあげて下さい。症状が現れてからじゃ遅いんです。